「さようなら原発」と「原子力資料情報室」が共同で【原発・エネルギー政策の根本的議論を求める要望書】を提出
1月23日、通常国会冒頭で衆議院が解散され、1月27日に第51回衆議院議員総選挙が公示された。2月8日の投開票まで、戦後最短となる10日間の選挙戦が始まった。
さようなら原発1000万人アクション実行委員会は、原子力資料情報室と共同で、選挙戦およびその後の国会において原子力政策やエネルギー政策について真摯に議論を深めるよう求める要望書(別添資料参照)を、1月26日、各政党および内閣総理大臣宛に送付した。併せて、国会内で記者会見を行った。
記者会見では、さようなら原発から要望書の趣旨説明を行った。その中で、原子力の問題は国政にとっても重要課題であるにもかかわらず、選挙戦の争点では大枠の「推進」「反対」といった公約にとどまり、具体的な内容はほとんど主張されていない現状を指摘した。消費税や社会保障、医療・介護など、当面の課題や選挙受けのよい課題が優先されている一方で、原子力問題は立地地域の課題として扱われがちで、全国的な課題とはなっていない。候補者にとっても原発問題は票にならないのか、具体的な言及は少ない、あるいはまったくない状況である。
しかし現実には、東京電力福島第一原発の廃炉問題や柏崎刈羽原発をはじめとする原発の再稼働、進まない原発の新増設、破綻している核燃料サイクル、高レベル放射性廃棄物など核のごみ問題といった課題が山積しており、それらは私たちの生活や将来世代に大きな影響を与える。政府や電力会社の計画は破綻、または大幅に遅延している。さようなら原発は、だからこそ現実に即した議論を国会で行う必要があると訴えた。
原子力資料情報室からは、原子力の問題は民主主義の問題であり、原子力をめぐるさまざまな問題について「熟議」が必要だとの発言があった。核のごみの問題では、再稼働すれば使用済み核燃料は増え続け、廃炉となっても放射性廃棄物が発生するにもかかわらず、その処分場は決まっていない。六ヶ所再処理工場から出てくる高レベル放射性廃棄物についても、最終処分場の選定で文献調査に応じた自治体は少なく、先行きは不透明で、「トイレなきマンション」の状態が続いているとの指摘がなされた。
また、中部電力浜岡原発の「データ」の捏造問題について、事業者から提出されるデータをもとに審査している現状では、「捏造されていれば見抜けない。それで原発の安全が確保できるのか」との問題提起があり、今回の中部電力の悪質性とともに、原子力規制委員会の審査のあり方や体制を抜本的に見直す必要性が示された。
会場には、柏崎刈羽原発のある新潟から佐々木寛さん(新潟国際情報大学)、女川原発のある宮城から多々良哲さん(女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション)、松丸健二さん(東海第二原発運転差止訴訟原告)が出席し、さようなら原発の呼びかけに応えて、それぞれの立場から発言した。
佐々木さんは、「柏崎刈羽原発で発電した電気はすべて首都圏に送られ、事故や被曝のリスクだけが地元に押し付けられる。福島も同様で、『犠牲の構造』の上に原発は成り立っている。そのことを多くの国民は意識していない」と指摘した。
多々良さんは、「避難の問題で、男鹿半島の住民は事故が起これば女川原発に向かって避難しなければならず、実際には避難はできない」と述べ、避難計画そのものの矛盾を訴えた。
松丸さんは、「政治家や政党は、原発問題を選挙の争点から外している。15年前の東京電力福島第一原発事故や、いまなお避難を強いられている人がいることを忘れてしまったのではないか」と、強い口調で訴えた。
原発・エネルギー政策の問題は、政権構想や選挙協力をめぐる場面では重要な論点として扱われるにもかかわらず、いざ選挙となると争点から姿を消しています。この乖離こそが、いま問われるべき問題です。原発・エネルギー政策の根本的な議論こそ、選挙で問うべき課題の一つであり、国会で真摯に議論されるべきであることを強く訴えます。
※記者会見出席者のより詳細な発言は、東京新聞1月28日【こちら特報部「この衆院選、「原発」はスルーですか? 政策大転換、再稼働、不正…山ほどある問題の「議論」を切望する人々」】をご覧ください。


