12月5日に、「さようなら原発」一千万署名市民の会主催で、「フクシマを忘れるな!さようなら原発講演会」が東京・日本教育会館で開催され、被災者・避難者や被曝労働者などからの訴えがありました。約350人が参加しました。
福島原発事故からまもなく5年が経とうとする中で、安倍政権は事故の反省もなく、原発再稼働など原発推進策を押し進めています。しかし、福島原発事故の影響は複雑化し、多くの被災者に苦悩と困難をもたらし続けています。
呼びかけ人として開会あいさつに立った鎌田慧さん(ルポライター)は「原発は非民主的、暴力的なもので、人間のモラルに反する。フクシマの現実の声を聞いて何ができるか考えよう」と呼びかけました。
被災者からの訴えでは、「南相馬・避難勧奨地域の会」事務局長の小澤洋一さんが「福島では復興情報ばかりが報じられている」とし、放射線管理区域並みの土壌や大気汚染の実情や、小児甲状腺がんの多発、増え続ける汚染水問題など、政府や福島県の行政や一部の専門家に対して厳しく批判しました。
一方、郡山から静岡県内に自主避難をしている長谷川克己さん(「避難の権利」をめざす全国避難者の会)は、「政府や行政は信じられなくなり、子どもは自分たちで守る決意をして2011年8月に郡山を離れた。しかし政府は避難地域を撤廃しようとして、自主避難者への住宅の無償提供も打ち切ろうとしている」として、「避難する権利」を求めて10月29日に「全国避難者の会」を結成したことを報告しました。
次に「被曝と健康問題を考える」と題し、崎山此早子さん(医学博士・高木学校)が低線量被ばくによる発がんリスクとして「放射線に安全量がないことは国際的合意事項」と説明。「核被害はひとたび起こると生業を根こそぎ奪ってしまう。しかもその持続時間は人の寿命をはるかに超える」として、科学的根拠に基づいて個々人が判断力をつけることが重要と指摘しました。
最後に、被曝労働現場の実態について、事故後、福島第一原発内で作業員として働いてきた池田実さんが証言。放射線量を気にしながらの過酷な労働の実情などを語り「東京電力の社員は現場にはおらず、何重もの下請け構造がある。その中で給料のピンハネや危険手当がキチンと支払われていないなどの問題がある。こうした構造をただしていかない限り被ばく労働はなくならない」と訴えました。
最後に司会の古今亭菊千代さん(落語家)が「私たちはフクシマを決して忘れない。フクシマにつながり続けていくために、これからも声をあげていきましょう」と呼びかけて終了しました。
フクシマを忘れるな! さようなら原発 講演会
2015年12月7日