第二部は、時間を早めて13時20分に、菱山南帆子さん(許すな!憲法改悪 市民連絡会)さんの司会で元気にスタートしました。
主催者あいさつでは、澤地久枝さん(呼びかけ人・作家)が、雨の中、大勢が集まってくださったことへの感謝を述べ、運動は原発政策を追い詰めている、と語りました。
政府はもんじゅをやめると共に、原発をやめるという勇気をなぜ持たないのか、汚染水は止まらず、故郷を奪われた人はかつての生活に戻れない。その上、福島原発事故の責任が電気料金の形で市民に負わされようとしている。子どもの病気、原発作業員の病気も多い。作業員の賃金は下請け構造でピンハネ、不払い。原発事故で金もうけをするのはバチ当たりだ、と、原発政策の破綻ぶりを指摘。原発をなくすまで、最後までがんばっていきたい、と決意を述べました。
福島原発告訴団長の武藤類子さん(ひだんれん共同代表)は、「被災者を見捨てるな」「被災者の声を聴け」のむしろ旗を掲げた被災者と共に登壇。
国内の原発は少しずつ追い詰められている、一人ひとりがこつこつと本当によくやってきた。あと一息をみんなでがんばろう、とまずお互いの努力をねぎらい、そして、落ち着いた声で被災者の現状を訴えました。
困難はいまだ続き、新たな困難が生じるなか、喫緊の課題は、避難解除による賠償や、住宅支援の打ち切りの問題。家を奪われるのは非情なことで、国や福島県は、県外の自力避難者であっても県内在住の避難者も、どちらも救済を続けるべきだと述べました。「理不尽な原発事故で福島に帰れなくしたのは誰なのか、と私たちは問いたいです」
子どもの甲状腺がん・その疑いは、今月の県民健康調査の報告で174人。支援のため、3・11甲状腺がん子ども基金を立ち上げた。既存の制度がないなか、民間で行う。被曝を避けるための保養も、本来国が制度化すべきだが、これらのことにも取り組んでいきたい、と、強いられた闘いの中で、一人ひとりを大切にし支えあっている状況の報告とそれへの支援を呼びかけました。
詩人のアーサー・ビナードさんは、「あいにくの天気」という言葉が今日は何度も出ているが、雨の日の方が福島で起きていることを実感できるのではないか、と語り始めました。この1週間降り続いた雨で、地下水は地上に達し、「地上水」となっている。この毒水が海に流れるのをどうするのか。
東京電力が進めるのが、凍土方式による遮水壁。亜熱帯の日本で、永久凍土を、電力を使ってつくるという。税金を投入しても、凍らない凍土壁。このまま続くと、新しい日本語ができるのではないか、「凍土のつまり」(トドノツマリ)――と、会場を笑わせました。
また東京電力は、東京電力ホールディングスと社名を変えたが、ふさわしい名前だ、とビナードさん。名前に「ホール(穴)」があるとおり、福島第一原発の1号機から4号機に穴をあけ、国家予算に穴をあけている。
核の平和利用は、実は電力のためではなく、核武装のため。広島訪問では意味のあることを言わなかったオバマ大統領だが、アメリカに帰っての核の先制不使用を言った。その動きに安倍政権はそんな約束をするな、と言っている。先に核兵器を使用するとは、日本が世界で最も卑怯な国に成り下がった瞬間だった。黙ってこの政権を続けさせれば、私たちも卑怯な連中になる。卑怯な原子力政策に終止符を打つためにがんばっていこう、と呼びかけました。
木内みどりさんは、呼びかけ人で参加できなかった落合恵子さんからの力強いメッセージ文を読みあげてくれました。
5兆円を超える防衛費、武器の輸出、沖縄への暴挙、漏れ続ける汚染水、9万人を超える避難者……。「私たち一人ひとりは、国の歯車ではありません。私たち一人ひとりは、国の所有物ではありません。私たち一人ひとりは、あくまでも尊厳ある独立した存在であり、まぎれもない主権者です。その暴挙に打ち勝ってこそ、この屈辱を跳ね返してこそ、私たち自身と私たちに連なるすべてのいのちと、私たちの民主主義は、深呼吸の時を迎えるのです」と、落合さん。
木内さんは、「何をやっても変わらない、むしろ悪くなる」と悩むこともあるけれど、悩むのはやめた、次の一歩を踏み出せばいいのだ、と。そして、キューバで100万人が集まったという革命広場を見てきたが、国を変えたいという人が大勢集まり革命を成功させた。日本にも原発をとめたい人は大勢いる。それらの人々と一緒にがんばっていきたい、と決意を述べました。
高校生1万人署名運動の布川仁美さん(高校平和大使)は、この活動を通じて、「知ること」「想像すること」の大切さを学んだと話してくれました。
平和大使になり改めて長崎を訪問し、原爆は人の体だけでなく、心も奪い去った、助け合うという人間本来の心すらも失わせたと知り、胸が苦しくなった。また、原爆・戦争の悲惨さと正面から向き合い想像することで、いまここにある日常の些細な幸せを深く感じることができた。自分は微力な存在だが、知ることができる、想像することができる、後世へ伝えることができる。同世代の仲間とともに、核兵器の廃絶と平和な世界の実現のためにがんばっていきたい、と結びました。
福井の宮下正一さん(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)からは、廃炉の方向が示された高速増殖炉のもんじゅの、事故や点検漏れなどの歴史と現在の報告がありました。
もんじゅは「悪魔の原子炉」。原子炉にあるのは毒性の非常に強いプルトニウム239。冷却には金属ナトリウムを使っているが、空気にふれると燃え、水につかると爆発する。配管は細くて長く、地震で損傷する可能性が大いにある。ひとたび事故がおこれば、大爆発がおき、福井どころか、日本の半分が人が帰れない地域になってしまう。人が大量被ばくし、逃げ切れない。もんじゅを運転させてはならない、と訴えました。
協力団体の「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲行動実行委員会から、木村辰彦さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)が発言。
辺野古新基地建設、高江のヘリバッド建設に反対する市民を、国家があらゆる権力を使って押しつぶそうとしていると告発。本土の機動隊と沖縄県警が1000名体制で高江を制圧。まるで戒厳令下のように、住民道路を封鎖、市民を暴力で傷つけ、不当逮捕を行っている、と現状を訴えました。
また、先日自衛隊のヘリコプターがヘリパッド建設の重機輸送を行ったが、自衛隊に基地建設をさせる法律はなく、政府が作りたがっている緊急事態法が高江では先取りされてしまっている、と指摘。また、沖縄県知事の埋め立て承認の取り消しを国が訴えた裁判の、9月16日の高裁判決は、三権分立も何もなく司法が国を追認、地方自治を軽視し国に従わせる、まったくの不当判決だ、と批判しました。
20年間沖縄県民は闘い続けている、闘いは全国に広がっている、沖縄と本土の市民が力を合わせれば、必ず新基地建設を止めることができる、と連帯を強く呼びかけました。
もう一つの協力団体、戦争をさせない・9条壊すな!総がかり実行委員会からは、福山真劫さんが発言。
世論の圧倒的多数が違憲だと反対する安保法案が強行採決されて1年。私たちはその後も闘い続けてきた。いま、戦争法の具体化として南スーダンへの派兵が進められている。南スーダンは内戦状態。憲法違反の戦争法を根拠にした自衛隊の派兵を許すわけにはいかない、と強く訴えました。
強行採決されて1周年となる9月19日の国会包囲行動には、2万3000人が駆けつけ、全国300カ所以上で行動があった。戦争法廃止の署名は1400万を超えている。われわれ市民が求めているのは平和なのだ!と心からの叫びが響き渡りました。
体をはって闘っている沖縄の人々に対し、総がかり行動実行委員会も闘争団を派遣し、東京でも闘う、また10月6日から「沖縄県民の民意尊重と基地の撤回を求める全国統一署名」を展開する、と行動計画を紹介。本土での闘いをもっと強め、市民が連帯して、横につながってがんばれば絶対に勝てる、と呼びかけました。
最後の閉会あいさつは、呼びかけ人の鎌田慧さん。
今日は画期的な集会だった。もんじゅの廃炉の方針を受けての初めての集会で、私たちは今後一つひとつの原発の再稼働を止め、再処理工場を止め、廃炉に向かっていく。今日9月22日はその出発点だ、と宣言。
もんじゅは1兆円も金を無駄にしてようやく廃止が決まった、これは原発政策の曲がり角、あるいは転換、あるいは転落、あるいは絶滅の始まりだ。原子力船むつはすでに廃船になっている。もんじゅが続き、次は六ヶ所村の再処理工場だ、と気合を入れました。
開拓農民を追い出して建設した六ヶ所村再処理工場は、すでに12兆円を投入、30年経っても稼働できず、試運転が22回も中止されている。しかし政府が諦めないのは、核武装の能力を作るのが最後の狙いだからだ、と喝破。しかし、私たちはもんじゅをつぶし、再処理工場をつぶし、日本の核武装を阻止していく、今日はそういう決意を込めた集会であり、戦争に反対し、原発再稼働に反対し、沖縄の基地に反対し、苦難のうちにある福島の生活をどう守っていくかを考えていく集会である、と述べました。
東電の株、復興事業企業の株を買いこんでいる今村雅弘復興大臣。防衛関連企業の株を買い占めている稲田防衛大臣。戦争をやればもうかる、こんな不道徳があるか、と鎌田さんは憤りをあらわに。原発事故の補償金、廃炉費用を、新電力に負担させる政府方針が出されたが、電力会社は事故を起こしても勝手放題で、責任をとらない、われわれは安倍政権になめられている。
安倍は自民党の党則を変えて3期やろうとしているが、これは独裁者のやること。オリンピックもやり、憲法も変える、そのために任期を延ばす姑息な手段だと指摘しました。
今日はデモ行進はやらないが、雨の日に闘い抜いた記憶を胸に刻み、今後にエネルギーを蓄えてください。みなさん、がんばろう!と激励し、集会は終了しました。