三月九日大集会へのアピール
わたしたちは、福島原発事故以来、原発社会からの脱却をもとめる全国のひとたちとともに、署名運動と数度にわたる集会やデモを開催して参りました。しかし、すでに福島の子どもたちに、甲状腺の異常が発見されるなど、環境と人間にとって影響があらわれはじめています。
それでもなお、野田政権は大飯原発を再稼働させて世論を憤激させ、抗議行動を拡大させ、脱原発の世論に火をつけました。この世論に押されて、野田政権もようやく「脱原発」の方針を掲げるようになりました。
が、ときすでに遅く人心は野田政権を離れ、解散選挙に追い込まれた結果、原発問題になんの決着もつけないまま、新政権と交代しました。
安倍新政権は、憲法改悪、国防軍の創設、集団的自衛権の行使などを標榜するばかりでなく、原発の維持・再稼働にこだわり、新規増設にさえ含みを持たせています。
しかし、わずか四割ほどの得票によって七割の議席を得るにいたった新政権は、自らの勝利を、自分たちへの信任、いわんや原発維持政策への承認と勘違いしてはなりません。有権者の期待を裏切った旧政権にたいする不信と不満が生んだこの選挙結果に慢心せず、世論が圧倒的に脱原発を支持していることを肝に銘じるべきです。
わたしたちは、福島の大惨事の反省もなく、被災した人びとを放棄して再稼働に急ぐ暴政を認めることはできません。活断層だらけの日本列島で、原発を増設・稼働させようとする自殺行為は、さらに許すことはできません。
したがって、わたしたちはつぎの政策を要求し、三月九日に明治公園に集結して民意を示すことを呼びかけます。
一、原発は速やかに廃炉作業に入る。
二、原発の新増設は認めない。
三、再処理工場、高速増殖炉(もんじゅ)の運転を認めない。
四、再生可能エネルギーの普及・開発を最大限に促進する。
五、廃炉の過程における原発立地自治体への経済的支援を政策化する。
内橋 克人
大江健三郎
落合 恵子
鎌田 慧
坂本 龍一
澤地 久枝
瀬戸内寂聴
辻井 喬
鶴見 俊輔