3.20さようなら原発全国集会中止にあたり、呼びかけ人の落合恵子さんからのメッセージ

こんにちは。落合恵子です。

3月20日の集会を心から待っていました。

憤りと、でも明日につづく希望も考えて、ここで私たちはもう一度みなさんと会って、自分との約束を確かめたい、そんな思いがありました。ですから、とてもとても残念です。

私たちのこの会が延期になったことによって、どこの誰が喜ぶのかな、と思うと、さらに腹立たしくはなります。

復興五輪という言葉のもとに、大事なことが消されていきます。小さな声が踏みつぶされていきます。私たちはだからこそ、声をあげよう、忘れまい、と、自分と約束をしてきたと思いますが、でも、でも、大丈夫だ。自分との約束は、自分が覚えていれば、決して雲散霧消はしないと思うからです。

また、お目にかかりたいと思います。そして、いろんな情報を交換しましょう。誰かと会って、何かを話すことは、自分の心の中にあるずーっと持ってきた考え方を、一つにまとめていく道だと思うからです。

思い出します。2011年3月11日、あの日から11カ月経った福島の町。雪がわーっと降っていて、その雪の間からこのくらいの、ブルーの布きれのようなものが見えて、見に行ったんです。マフラーでした。子ども用の。雪が積もって誰かが踏んだりして、汚れてはいましたが、「あっ、お子さんのマフラーだな……」。

今日は9年目と1日が経ったところです。あのマフラーの持ち主、子どもは、どこで何をして、何を考えているかな、と、さっきから思っています。小さな声を忘れてはいけない。自分に引き寄せて何ができるか、もう一度考えたいと思います。

最後に私の好きなレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』から。こんな言葉があったと思います。「もしこれを初めて見るものだったとしたら、同時に、もしこれを二度と見ることができないとしたら……」。そんなふうに、人と会い、自然と出会いたいと思っています。

またお目にかからせてください。失礼します。

3月12日 落合恵子

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